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なぜマネジャー育成は進まないのか【続き】

投稿日: | 投稿者:北方 伸樹
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前回は「なぜマネジャー育成は進まないのか」というテーマでお送りしました。
【前回の記事はこちら】

コーチング研修だけでなく、マネジャーにさまざまな研修を受けてもらっても、なかなか変化や成果になってあらわれないと、事務局も、受講しているマネジャーのみなさんも忸怩(じくじ)たる思いでしょう。

研修も企業活動の一環である以上は投資です。ひさびさに集まって話せてよかった、気付きがあってよかった、面白かった、というだけでは投資効果が少なすぎます。エンターテイメントに終わらず、受講者が研修後に何をするかを決め、行動に移し、新しい行動スタイルが定着したときに、初めて成果となって表れるのですから。

研修がダメだというわけではありません。まとまったセオリーや基本的な考え方をインプットし、受講者が現状を振り返る貴重な機会であり、非常に効果的です。ぜひやるべきです。

ただ、研修終了時に受講者が行動できる状態になっていないとその時点で投資効果はほぼゼロです。

「これならできそうだ!やってみよう」「これに取り組もう!」という状態になっているのが研修終了時のゴールです。受講者の半分以上がこうなっていなかったら、その研修はちょっとまずいです。見直しましょう。

今までの自分のあり方を変えることへの抵抗

前回お伝えした習慣化に至るプロセスで言えば、きちんと設計された研修を受けることで、

②意識的無能(何ができないかがわかっているが、できない)

までたどりつきます。問題は次のステップです。

③意識的有能(意識しながらやれば、できる)

エクセルのスキルのように、学んだことをPCといった「もの」に対して試すのはそれほどハードルは高くありません。一方、リーダーシップやマネジメントの領域では、部下や同僚といった「ひと」に対して試すことになります。これが一筋縄ではいかないのです。

当社では、リーダーとして望ましい振る舞いとして端的なものを18項目抽出していますが、その中に、「部下のちょっとした変化や成長に気づいて伝えている」という項目があります。できているマネジャーにとっては大したことではありません。部下をよく見ていれば、変化や成長には気づくものです。そして、立ち話でも、一緒に外出するときにでも、ランチを取りながらでも、「今日は前より説明がわかりやすかったよ」とひとこと伝えればよいだけです。

当社の研修の参加者には、「①気づいて②伝える」ことの大切さはきちんと理解していただけます。これができていないマネジャーのほとんどは、研修終了時に「これからは部下の変化や成長によく気づいて、しっかり伝えたいです」とおっしゃいます。

しかし・・・

その後しばらくして、フォロー研修で集まってもらうと、「いやあ、気づくんですけど、伝えてないです」という声が挙がります。伝えることができさえすれば、確実に部下との関係をよくすることは頭では百も承知なのに、行動に移さないのです。そこで、「何があなたに『伝えない』ようにさせているんですか?」と聞くと、こんな返事が返ってきます。

「だって、いままで伝えたことがないから照れくさくて・・・」
「変だと思われるんじゃないかと思って・・・」

そこに垣間見れるのは、新しい関係を相手と築くことへの恐れです。

「今日まで曲がりなりにも上司としてうまくやってきたじゃないか。100点とは言わないが、このままでもきっとなんとかやっていけるに違いない。変化を起こして、部下が思わぬ反応を起こすくらいなら、今まで通りでもいいんじゃないか・・・」

変化できるものだけが生き残る

経営環境の変化に対応できず、業績悪化していく企業の経営者の発言と似ています。できればいままでの世界に安住して、変化しないですませたい。その気持ちはわかります。生き残ることができれば、なのですが。

マネジャーの置かれている環境もどんどん変化しています。10年前、いや5年前と比べても、部下は多様化しています。育児や介護で短時間勤務している社員、再雇用で働く年上の部下、ゆとり教育世代の若者、在宅勤務、派遣社員、契約社員、外国人、などなど。そしてこれからもっと多様化していきます。

背景も文化も考え方も違うメンバーが集ったチームで、従来以上の成果をあげていくためには、「言わなくてもわかるだろう」というのはすでに幻想です。マネジャーも自らのスタイルに変化を起こしていかざるをえません。

とはいえ、変化への不安から、今までの自分のあり方を変えることへの抵抗は自然に起こってきます。この抵抗を乗り越えて、新しい行動に手応えを感じられるための仕掛けが必要です。それは、

「パートナーを決める」

ということです。

パートナーが果たす役割は、

①ゴールをイメージさせ続ける
②行動を約束させ、背中を押す
③フィードバックする
④承認(アクノレッジ)する

など、さまざまなものがありますが、ひとことでいうと、「ゴールにたどり着くまで、仲間として支援し続ける存在」です。相手が誰であれ、マネジャーにとってパートナーと呼べる人がいるかいないかが、成果に影響します。

次回以降、このパートナーについて書いていきます。

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