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1900年経っても変わらないもの

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こんにちは、相変わらずNHKの番組を見ている率が高い、代表北方です。

NHKのEテレで放送されている「100分de名著」という番組、知ってますか?25分の番組4回で毎月1冊の名著を紹介していくというなんともありがたい番組です。

今月紹介されている本は、マルクス・アウレリウスの「自省録」。マルクス・アウレリウスはローマの五賢帝の一人で、哲人皇帝と呼ばれています。つまり、哲学者が皇帝としてローマ帝国を統治していたわけです。自省録はそもそも誰かに読んでもらうために記されたものではなく、アウレリウスが自分のために書いた、いわば日記のようなものだったようです。日記なのですが、後世、哲学書として扱われるような実に味わい深い内容がしたためられています。

「100分de名著」の第一回で取り上げられていた一部を紹介しましょう。

「お前が何か外にあるもののために苦しんでいるのであれば、お前を悩ますのは、その外なるものそれ自体ではなく、それについてのお前の判断なのだ」

「事物は魂に触れることなく、お前の外に静かにある。苦悩はお前の内なる判断からだけ生じる。お前を悩ます多くの余計なものは、すべてお前の判断の中にあるので、お前はそれを除去できる」

すばらしい慧眼ではありませんか。人の苦悩が生まれる本質を言いあてています。誰かに対してイラッとしたり、怒りを感じたりするのは、その誰かに原因があるのではなく、その誰かを見ている自分自身の中にある、ということです。微笑ましいのは、アウレリウスはこの慧眼をもってしても苦悩から解放されたわけではなかったようで、同様の記述がその後も何回も出てくるというところです。実に人間らしい。

マルクス・アウレリウスの在位期間は西暦121年から180年。いまから1900年ほど前の人です。1900年経っても私たちは同じように苦悩し、自分自身の中にあるものに向き合えず、相手や環境のせいにしています。人間というものは実にどうしようもなく、そして愛すべき存在だなあと思うのです。

自省録(岩波文庫) マルクス・アウレーリウス著/神谷美恵子訳

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