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誘惑という波を乗りこなす

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こんにちは、オアフのマイケルです。

今年は5月から暑い日々が続きますね。私の知人も朝晩の寒暖差で風邪を引いたり、野外バーベキューで油断して熱中症にかかってしまったりと体調を崩してしまう方が続出しています。
みなさまどうかご自愛ください。レッツ健康で活き活きワーキング。

さて、本日ご紹介する本はこちら。
ダニエル アクスト 著/吉田 利子 訳
「なぜ意志の力はあてにならないのか-自己コントロールの文化史」
NTT出版

痩せたいのに痩せられない。
貯金したいのに貯金できない。
浮気はダメだとわかっていても浮気してしまう。えとせとらえとせとら…。
「ああしたい」「こうしたい」「わかっちゃいるけどやめられない」。
そんな欲望の数々に、私たち人間の意志はいとも簡単に負けてしまう。なぜだろう?

本書では、その理由を「今の世の中には誘惑が多過ぎるからだ」と一言で切って捨てています。
「こんなにモノやサービスが溢れて便利になった世の中で、楽しみや快楽を自制できるほど人間の意志は強くない」と。そして欲望に負けて後悔してしまわないために「『プリコミットメント』を活用しなさい」と説いています。

「プリコミットメント」という聞き慣れない言葉。
本文の文脈では「自分が負けてしまいそうな欲求や誘惑をあらかじめ見越したうえで自らに課す制約」と意訳するのが近いような気がします。「自分の欲の癖を把握し、誘惑から自分を遠ざけるなどして、欲望を満たす行動の発生を制限する」ということでしょうか。

400ページ弱、全19章に及ぶ分厚い本です。しかし著者の言いたいことは、第1章と第19章を読めばだいたいつかめると思います。第2章から第18章までは、人間を取り巻く環境がいかに誘惑に満ち溢れたものになっていったかの具体的な説明です。
どれだけ好きなものを好きなだけ食べられるようになったか。
どれだけ気軽にギャンブルを楽しめるようになったか。
どれだけ簡単に浮気相手を見つけられるようになったか。などなど。
心理学・経済学等の実験結果も引き合いに出しながら、誘惑が増えれば増えるほど、人は意志の力で自らの欲望をコントロールすることができなくなることを見事に描き出しています。

たとえば、交通事故に遭って足にギプスをはめる羽目になってしまったある女性。
歩いたり走ったりの運動ができなくなり、これまでより消費できるカロリーが少なくなってしまうのは明らか。今までと同じような食生活を続けていると必ず太ってしまう。しかし太りたくはない。でも食欲は尽きない。ではどうする?
食後すぐに歯を磨いてそれ以上食べられなくする、デザートは半分食べて残り半分に塩をかけてそれ以上食べられなくする、おやつの時間に乾きにくいマニキュアを塗って菓子袋に手を入れられないようにする…こうして食欲を満たす行動に様々な制約をかけることにより、この女性は太ることなく、健康な体を維持することができた。

古典的なモチベーションの理論では、人間の内側に「動因」があり、外側に「誘因」があり、両者が結びついた時にはじめて「モチベーション=動機づけ」が発生するとされています。「甘いものが食べたいなぁ」という「動因」があって、「通りがかった場所にケーキ屋さんがある」という「誘因」があり、両者が結びついて「ケーキを買って食べよう」というモチベーションが生まれる。
この本でいう「自己コントロールのうまい人」というのは、「動因」を抑えこむのではなく、「誘因」をうまく制御することによって、自らの欲求とうまく付き合っている人のことを言うのだろうと思います。

他にも、誘惑過剰時代における自己コントロールについてのおもしろい記述がたくさん。
「一時の欲望を我慢しすぎる人は、その後に我慢しきれなくなる傾向がある。つまりある程度は誘惑に身を任せた方がいい」
「意志の力は筋肉と似ていて、鍛えれば強くなる。しかし筋力と同様、限界がある」
「一人の時は誘惑に負けやすい。だから負けたくない時は、積極的に他人と一緒にいるべきだ」などなど。
自分自身にとって望ましい生き方を手に入れるためには、自分の意志の力の強度を理解し、過剰な欲望が発生しないように環境を整え、そこに身を置くことが一番だ、ということなんでしょうね。

不肖マイケルは、書店に行くと気になった本を値段を気にせずすべて買ってしまうという悪癖があるので、書店に行くのは週に1回だけという制約を設けています。これで十分かはさておき…みなさんも欲望に振り回されず、こんなふうになりたいという理想の人生を手に入れるため、「制約」と「誓約」を活用してみてはいかがでしょうか。

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