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【インタビュー】マネジメントスタイルを変えて起きた組織の変化

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大塚社長(45アイズ株式会社)とは、2014年の春、共通の知人を介して出会いました。弊社が以前コーチとして関わっていた別の企業の社長が、大塚社長の「組織を変えたい」という想いを受けて、弊社を紹介してくださったのです。

45アイズ株式会社は、創業34年(インタビュー当時)です。創業当時は写真プリントDPEチェーン店を展開し、全盛期には725店舗にまで拡大されていました。しかし、時代とともに写真事業の需要が低下し、そんな低迷期に、3代目の現・大塚社長は入社されたそうです。その後も店舗数はどんどん減り、全盛期から15年を経た現在では約40店舗にまで縮小・・・。そんな中、業績を盛り返したのは、時代に即した新規事業でした。過去に経験・蓄積されたチェーン店の出退店のノウハウを応用し、チェーン店専門の看板や内装、建築、不動産などを扱う事業を、現在はメインにされています。

企業も、激動する外部環境に応じて変化していく必要に迫られています。組織内でも変化に対応できるようにしていかなければいけません。
組織を変化させるために何をしたのか、その結果社員のパフォーマンスはどう変化したのか、弊社主催セミナーにご登壇にいただき、「事例インタビュー」という形で、お話をお伺いしました。

インタビュー

大塚社長とは2014年の春頃初めてお会いして、社長ご自身をコーチすることになりましたが、そもそもなぜコーチングを受けようと思われたのですか?

私が社長になったのは5年前。それまでは父が社長をしておりました。
強い、いわゆるトップダウン型で「全部俺の言うとおりにやれ」という社長でした。その結果、社員が何も考えない状態になってしまっていたんです。「言われたからやりました」、失敗したとしても「言われたことをやっただけです」という完全に考えない組織でした。
私が社長になり、それを「自分で考える組織に変えよう」と取り組んでいた時に、友人の経営者に「コーチングが効く」と聞いたのです。「今の若い社員たちはこうだと言っても聞かない。いいから一回コーチングを受けてみたらわかるよ」と言われて、北方さんに会ったんです。

コーチングを受けられてどうだったでしょうか??

2週間ごとにコーチングを受けるんですけど、北方さんはひたすら質問をしてくるんです。何かを言われるわけではないんですけど、聞かれるから答えるんです。答えるから、自分で「こうだよな」と考えが整理されてくるんです。そして、「では、いつまでにやりますか?」と聞かれ、「いつまでにやります」と言い、「それをやったら効果がありそうですか?」と質問され、「効果あると思います」と答えるわけです。
そうすると、自分がすべきことが決まってくるんです。
言語化の力ってとても大きくて、それまでダラダラと流れていたものが、ただ質問されるだけで、「そうだよな」「これやろう」「いつまでにやろう」って物事が進んでいくんです。

大塚さんがコーチングを受けられた後、ご自身の部下にも個人コーチングをやってほしいという話を頂きましたよね。それはどうしてですか?

当時、すごく有能なんだけど伸び悩んでいる部下が何人かいました。
一人はすごく本人の能力も高いし、部下にしっかりマネジメントもしているんだけど、少しやりすぎちゃう。部下にも仕事やらせすぎちゃうし、完璧を求めすぎちゃう。介入しすぎるんです。そのリーダーを何とかしたいと思ったのがきっかけです。
私がその女性のリーダーに「やりすぎだよ」「こうした方がいいよ」と言っても、頭では理解できたとしてもやらないんです。基本的に人間って、自分で「そうだよな、こうだよな」と自分で気づかないと行動に移らないんですよね。
私は勝手に「発見と興味の原則」って言ってるんですけど、人から言われたことよりも、自分で気づいたことの方が人間の原動力となっていくと思うんです。 自分で気づいたことを実行して進む組織にしたくて、並行して3〜4人のマネジメント層に2年以上コーチングをしてもらっています。コーチングしてもらって半年くらい経つと、その人の課題がクリアして、その状態が定着するんです。そうするとその人は卒業で、また別のリーダーに受けさせていくというサイクルを回しています。

別の人ですが、自己主張型のリーダーがいました。自分の売上を上げたくて、部下の仕事を取っちゃう、頭ではよくないとわかっているけど、どうしても張り合っちゃう。 この人も半年間コーチングしてもらって、自分自身でそれがよくないということに気づいて、半年たって以前とは違ったやり方が定着しました。一旦定着すると、北方さんにお願いしなくてもその思考で今後やり続けられます。

私は新しい対象者を依頼するとき、「この人はこれをやれば伸びる」「あの人はこれがなくなれば伸びる」ということを北方さんに伝えて、部下をコーチングしてもらっています。

ちなみに、失敗する人と成功する人がいます。誰でもうまくいくわけではないです。 本人がいやだと思って、やらされている感があるとうまく伸びないですね。私が「ここが変わればすごく伸びる」と期待をしていてそれが伝わっている場合はすごく伸びます。本人の成長のために投資をしているというのを理解して、“やりたい状態”になった段階でコーチングするといいです。

個人コーチングの他に、リーダー17名に向けて「部下マネジメント力向上プログラム」を実施しましたよね。それをやろうと思った動機とプログラムに対する期待を教えてください。

個別コーチングは部下一人ひとりの能力を引き上げたい、仕事をしやすくしたい、ということが目的でした。部下マネジメント力向上プログラムでは、リーダーにはコーチングスキルそのものを身につけてほしかった。個別コーチングでリーダーの能力を引き上げて、部下マネジメント力向上プログラムで社内のコミュニケーション全体を変える、ということです。

あのプログラムには大塚社長もメンバーの一人として入られましたよね。私自身は社長も入るんだとびっくりしたんですけど、どうして一緒にやろうと思ったんですか?

プログラムに入るということは当然自分の弱みをさらけ出すことになるだろうし、参加したくはなかったんです。前日までやらない理由を考えていました。でも、入ったらプラスになることと入らなくてプラスになることを書き出してみると、どう考えても入らざるを得ないと感じました。自分自身もコーチングスキルを学びたかったし、自分が入ると組織として本気で変えたいと思っていることが伝わると思ったんです。

私は一緒にプログラムをやりながら思ったんですけど、やっぱり大塚社長が入っていることがメンバーに影響している場面が結構ありました。メンバーから出てきたコメントで「最近社長が話を聞いてくれるようになった」というものがありました。すごくよかったと思うんです。
大塚さんって、今にこやかにしゃべっていらっしゃいますけど、もともとはそうじゃないトップでしたよね。

そうですね、結構怒鳴っていました。せっかちですし。せっかちは今でも変わっていないですが、わりと強い目のリーダーかもしれないです。

今は任せるタイプのマネジメントに変わってきていると思うんですけど、努力していらっしゃるんですか?

しています。人はそんなに変わらないですから、強く意識し続けないと。

今も意識しないと戻っちゃう感じでしょうか?

今はもうほんとに怒らなくなって、もう2年くらい社員をどなっていないかもしれないです。

怒鳴らないことは会社にとってどんなメリットがありますか?

怒らないと安心な環境ができます。社員が何を言っても安心な環境でなければ、結局大事な情報って上がってこないですよね。経営者・リーダーって情報をもとに判断しているのに、どこかで遮断されると、必要な情報がない中で判断しなくてはいけなくなってしまう。
情報を上げろと言っても上がってはこないので、やっぱり情報が上がってくる状態にすることが大事です。何を言ってもにこにこして、「やっちゃってるねぇ」と言っていると、みんな安心して情報を上げてきます。
まずいことをしたら本人は絶対わかっているので、受け入れて「じゃあどうしようか」と言っている方が一緒に考えられるし前向きになるわけです

「部下マネジメント力向上プログラム」の前と後では、大塚さんから見てどういう変化が生まれましたか?

半年間、2週間のサイクルで集合セッションと実践が繰り返されます。実践してそれを持ち寄って評価して、次の課題を設定して取り組みます。みんなが否が応でもコーチングというアプローチの仕方をずっとやり続けることになるので、コミュニケーションの質が変わりました。もちろん、目に見えてコミュニケーションの量も増えました。

その後、改めてリーダーを集めて新たな切り口でプログラムをご依頼くださいましたよね。

部下マネジメント力向上プログラムは、マネジメントにコーチングという技術を入れるものでしたが、組織の状態をもう一歩よくしたかったんです。
テーマが3つあって、「情報」と「失敗」と「参加」というテーマをもって、北方さんに相談したんです。コーチングの技術は身についた、コミュニケーションは変わった。でも、「情報」が適切にほんとに上がってきたかというとそうでもない。
まず、先ほど言ったように、「情報」の大切さをみんなにわかってほしい。大事な「情報」なのに、どこかで遮断されて、上がってこないと判断できない。
そして、「失敗」。「失敗」ってやっぱり言いたくないものですから、みんなが隠そうとするんですよね。
そこで、「失敗」の概念を変えたかった。「失敗」と言わず、「やっちまった」と言おう、ということを提起しました。失敗しても全然OKという空気感を作りたかった。失敗できない組織の方が危険だと思ったので。
あとは「参加」。社員にはみんな「参加」してほしい。自分事にしてほしい。
この3つをテーマに半年間うちでやってほしいとリクエストしたら、北方さんからの提案に私の意見を織り込んでもらって、今実際にやってもらっているところです。

具体的には、マネージャー層の中でも上位の人たちとまだなりたての人たちの2チームに分けて、自分たちの「失敗」から学ぶということをディスカッションしてもらいました。その中から出てきた課題についてどういう風に進めればいいか、何でも話せる場を作るというプログラムです。
―そんな取り組みをしながらもう3年半ほどのお付き合いになりますけど、振り返ってみて3年半で会社はどのように変わったかとかありますか?

 

 

北方さんの貢献は高いのは間違いない。だから信頼していろいろお願いしているんですけど、この3年間ですごく変わりました。
少なくとも私が怒らなくなったでしょ。コミュニケーション量が増えてますね。そして、私の仕事が減りました。私へのメールの量が減ったし、相談に来ることも減ったし、私は楽になりました。
部下・リーダーたちの思考の質が変わったので、安心して見ていられるようになりました。

とは言え、全部の部署がそうじゃなくて、進捗度合には差があります。一番伸びている部署はとても雰囲気がよくなって、みんな信頼しあっています。もともとはそんなに仲良くはなかったんですけど、一人が困っているとメンバー同士で助け合いが起きています。その部署は30人位なんですが、その中のチーム間の助け合いも増えてるし、意見を全く言わなかった困った社員いましたが、そういった社員も顔を上げるようになりました。
あと業績も上がったし、帰るのも早くなったし、生産性が上がってますね。 もちろん、他にも要因があって、クライアントを選別したとか、戦略部分にも手を入れたこともあるんですけれど。

ここから先、どんな会社にしたいのかを最後にお聞かせください。

私が目指したいのは、社員が笑顔で生き生き働いていること、ほんとに社会に役に立つサービスである商品を提供すること、これでめちゃめちゃ儲ける、こういう会社を作りたい。先ほどの30人の部署からはすごく手応えを感じていて、これを全社に広めていきたいです。
マネジメントの勉強をする機会を生かせる人はほんとに変わっていくし、せっかく同じものを提供していても生かせない人はほんとに生かせない。
一番大事なのはやっぱりトップがそれなりの覚悟というか、絶対やりきるぞと体重を乗せることじゃないかと思います。

楽しみにしています。ありがとうございました。では、会場の方々からご質問があればどうぞ。

 

Q:社長が困っている人にコーチングをしてもうまくいかないということでしたが、ではどうアプローチしたらいいでしょうか?

そもそも上司が困っているぐらいなので、聞く耳を持っていないんです。

確かに難しいです。ただ、その人にとってタイミングが今ではないんだなと私は思っています。リーダーの方が部下をコーチするときもやはり部下によって難易度が違っています。難しい人はとりあえず後回しにして、手応えのある人からやっているうちに、難しい人も影響を受けて変わる可能性があります。時期を待つ、ということです。
大塚)ひとつ成功事例はあります。自分はやっている、できていると思っている、でも評価されなくて否定されていると思っていた社員がいました。そういう社員には何を言ってもだめでした。そこで上司が、彼の発言に対してまずは否定しないことをチームで決めて、徹底的にやりました。そうするとその社員は周囲の話に耳を傾けるようになりました。困ったなあという人には、逆にその人の言っていることをまずは否定せずにちゃんと聞いてあげるということがアプローチのひとつだと思います。

 

Q:30人位の部署の伸びている要因は、人数なのでしょうか。あるいはリーダーの性別なんでしょうか?

人数は関係ないですね。性別も関係ないと思います。リーダー自身とその下のチームリーダー3人が全員北方さんのコーチングを受けていたというのがひとつあるかもしれないです。あと、みんな感度が良くて素直です。素直な人間は伸びます。

Q:うちの会社でも1on1セッションをやっているんですけど、安心感を与えすぎると逆に緩くなってしまいます。厳しさというのをどういうところで社員に向けて出していますか?

おそらく私は3年前より怖いと思います。感情的には怒らないですけど、「なんでだろう?」「それをやったのは本当に良いと思ったの?」「自分の判断でやったわけですよね?」というのは聞くので怖いと思います。そういうときに怒ってしまうとこちらも仕事した気になってしまうんですよ。でもそうじゃない。「言ったことをやらなかったのは自分だよね?」というところで人事も含めて妥協しないので。

単に部下の話を聞いているだけだと緩くなるでしょうね。コーチングセッションをマネジメントサイクルの中に埋め込むわけですから、目標として「やる」と決めたことについては上司として支援もするけれど、あなたがやるんだというメッセージをちゃんと飛ばしておかないといけません。できなかったのであれば、次にできるためにはどうするのか、ということに上司も部下もコミットしないとだんだん緩くなるんじゃないかと思います。

もし達成していなかったら、「達成していないよね」「なんで達成しなかったか一緒に考えよう」「達成しなかったのはなぜだと思う?」「どうしたら達成できる?」というテーマで話をするということです。さらに、「達成しなくてもいい」という選択肢も与えながら、もし達成しないという選択をし続ける社員には「あなたの仕事やマネジメントとしてどうなんだろう?」という問いに変わってきます。

ということは、内容的には相当厳しいですよ。やるかやらないかお前が選べという話なので。

―そろそろ時間も厳しくなってきましたので、このあたりで終了いたします。大塚社長、本日は貴重なお話をありがとうございました。

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