45アイズ様インタビュー(大塚社長)

強いリーダーシップで動いてきたトップダウン型組織から、社員が自発的に成果をあげるボトムアップ型組織へ変革

45アイズ株式会社 様

組織を変化させるために何をしたのか、その結果社員のパフォーマンスはどう変化したのか、弊社主催セミナー(2017年11月)にご登壇にいただき、「事例インタビュー」という形で、お話をお伺いしました。

STORY

大塚社長との出会い

大塚社長(45アイズ株式会社)とは、2014年の春、共通の知人を介して出会いました。弊社が以前コーチとして関わっていた別の企業の社長が、大塚社長の「組織を変えたい」という想いを受けて、弊社を紹介してくださったのです。

45アイズ株式会社は、創業34年(インタビュー当時)です。創業当時は写真プリントDPEチェーン店を展開し、全盛期には725店舗にまで拡大されていました。

しかし、時代とともに写真事業の需要が低下し、そんな低迷期に、3代目の現・大塚社長は入社されたそうです。その後も店舗数はどんどん減り、全盛期から15年を経た現在では約40店舗にまで縮小・・・。そんな中、業績を盛り返したのは、時代に即した新規事業でした。

過去に経験・蓄積されたチェーン店の出退店のノウハウを応用し、チェーン店専門の看板や内装、建築、不動産などを扱う事業を、現在はメインにされています。企業も、激動する外部環境に応じて変化していく必要に迫られています。そのため、組織内でも変化に対応できるようにしていかなければいけません。

コーチングを受け始めたきっかけ

北方

大塚社長とは2014年の春頃初めてお会いして、社長ご自身をコーチすることになりましたが、そもそもなぜコーチングを受けようと思われたのですか?

大塚社長

私が社長になったのは5年前。それまでは父が社長をしておりました。強い、いわゆるトップダウン型で「全部俺の言うとおりにやれ」という社長でした。

その結果、社員が何も考えない状態になってしまっていたんです。「言われたからやりました」、失敗したとしても「言われたことをやっただけです」という完全に考えない組織でした。

私が社長になり、それを「自分で考える組織に変えよう」と取り組んでいた時に、友人の経営者に「コーチングが効く」と聞いたのです。

「今の若い社員たちはこうだと言っても聞かない。いいから一回コーチングを受けてみたらわかるよ」と言われて、北方さんに会ったんです。

コーチングを受けてみて

北方

コーチングを受けられてどうだったでしょうか??

大塚社長

2週間ごとにコーチングを受けるんですけど、北方さんはひたすら質問をしてくるんです。

何かを言われるわけではないんですけど、聞かれるから答えるんです。答えるから、自分で「こうだよな」と考えが整理されてくるんです。

そして、「では、いつまでにやりますか?」と聞かれ、「いつまでにやります」と言い、「それをやったら効果がありそうですか?」と質問され、「効果あると思います」と答えるわけです。

そうすると、自分がすべきことが決まってくるんです。言語化の力ってとても大きくて、それまでダラダラと流れていたものが、ただ質問されるだけで、「そうだよな」「これやろう」「いつまでにやろう」って物事が進んでいくんです。

部下のリーダーにもコーチングを

北方

大塚さんがコーチングを受けられた後、ご自身の部下にも個人コーチングをやってほしいという話を頂きましたよね。それはどうしてですか?

大塚社長

当時、すごく有能なんだけど伸び悩んでいる部下が何人かいました。
一人はすごく本人の能力も高いし、部下にしっかりマネジメントもしているんだけど、少しやりすぎちゃう。
部下にも仕事やらせすぎちゃうし、完璧を求めすぎちゃう。介入しすぎるんです。

そのリーダーを何とかしたいと思ったのがきっかけです。

私がその女性のリーダーに「やりすぎだよ」「こうした方がいいよ」と言っても、頭では理解できたとしてもやらないんです。基本的に人間って、自分で「そうだよな、こうだよな」と自分で気づかないと行動に移らないんですよね。

私は勝手に「発見と興味の原則」って言ってるんですけど、人から言われたことよりも、自分で気づいたことの方が人間の原動力となっていくと思うんです。 自分で気づいたことを実行して進む組織にしたくて、並行して3〜4人のマネジメント層に2年以上コーチングをしてもらっています。コーチングしてもらって半年くらい経つと、その人の課題がクリアして、その状態が定着するんです。そうするとその人は卒業で、また別のリーダーに受けさせていくというサイクルを回しています。

別の人ですが、自己主張型のリーダーがいました。自分の売上を上げたくて、部下の仕事を取っちゃう、頭ではよくないとわかっているけど、どうしても張り合っちゃう。

この人も半年間コーチングしてもらって、自分自身でそれがよくないということに気づいて、半年たって以前とは違ったやり方が定着しました。

一旦定着すると、北方さんにお願いしなくてもその思考で今後やり続けられます。私は新しい対象者を依頼するとき、「この人はこれをやれば伸びる」「あの人はこれがなくなれば伸びる」ということを北方さんに伝えて、部下をコーチングしてもらっています。

ちなみに、失敗する人と成功する人がいます。誰でもうまくいくわけではないです。 本人がいやだと思って、やらされている感があるとうまく伸びないですね。

私が「ここが変わればすごく伸びる」と期待をしていてそれが伝わっている場合はすごく伸びます。

本人の成長のために投資をしているというのを理解して、“やりたい状態”になった段階でコーチングするといいです。

リーダーたちがコーチできるように

北方

個人コーチングの他に、リーダー17名に向けて「部下マネジメント力向上プログラム(現:チームマネジメント塾)」を実施しましたよね。それをやろうと思った動機とプログラムに対する期待を教えてください。

大塚社長

個別コーチングは部下一人ひとりの能力を引き上げたい、仕事をしやすくしたい、ということが目的でした。

部下マネジメント力向上プログラムでは、リーダーにはコーチングスキルそのものを身につけてほしかった。

個別コーチングでリーダーの能力を引き上げて、部下マネジメント力向上プログラムで社内のコミュニケーション全体を変える、ということです。

社長もトレーニングに参加するんですか?

北方

あのプログラムには大塚社長もメンバーの一人として入られましたよね。私自身は社長も入るんだとびっくりしたんですけど、どうして一緒にやろうと思ったんですか?

大塚社長

プログラムに入るということは当然自分の弱みをさらけ出すことになるだろうし、参加したくはなかったんです。

前日までやらない理由を考えていました。でも、入ったらプラスになることと入らなくてプラスになることを書き出してみると、どう考えても入らざるを得ないと感じました。

自分自身もコーチングスキルを学びたかったし、自分が入ると組織として本気で変えたいと思っていることが伝わると思ったんです。

北方

「部下マネジメント力向上プログラム(現:チームマネジメント塾)」の前と後では、大塚さんから見てどういう変化が生まれましたか?

大塚社長

半年間、2週間のサイクルで集合セッションと実践が繰り返されます。実践してそれを持ち寄って評価して、次の課題を設定して取り組みます。

みんなが否が応でもコーチングというアプローチの仕方をずっとやり続けることになるので、コミュニケーションの質が変わりました。もちろん、目に見えてコミュニケーションの量も増えました。

北方

その後、改めてリーダーを集めて新たな切り口でプログラムをご依頼くださいましたよね。

大塚社長

部下マネジメント力向上プログラム(現:チームマネジメント塾)は、マネジメントにコーチングという技術を入れるものでしたが、組織の状態をもう一歩よくしたかったんです。

テーマが3つあって、「情報」と「失敗」と「参加」というテーマをもって、北方さんに相談したんです。コーチングの技術は身についた、コミュニケーションは変わった。でも、「情報」が適切にほんとに上がってきたかというとそうでもない。

まず、先ほど言ったように、「情報」の大切さをみんなにわかってほしい。大事な「情報」なのに、どこかで遮断されて、上がってこないと判断できない。そして、「失敗」。「失敗」ってやっぱり言いたくないものですから、みんなが隠そうとするんですよね。

そこで、「失敗」の概念を変えたかった。「失敗」と言わず、「やっちまった」と言おう、ということを提起しました。失敗しても全然OKという空気感を作りたかった。失敗できない組織の方が危険だと思ったので。あとは「参加」。社員にはみんな「参加」してほしい。自分事にしてほしい。

この3つをテーマに半年間うちでやってほしいとリクエストしたら、北方さんからの提案に私の意見を織り込んでもらって、今実際にやってもらっているところです。

トップのスタイルの変化が生む影響

北方

私は一緒にプログラムをやりながら思ったんですけど、やっぱり大塚社長が入っていることがメンバーに影響している場面が結構ありました。

メンバーから出てきたコメントで「最近社長が話を聞いてくれるようになった」というものがありました。すごくよかったと思うんです。
大塚さんって、今にこやかにしゃべっていらっしゃいますけど、もともとはそうじゃないトップでしたよね。

大塚社長

そうですね、結構怒鳴っていました。せっかちですし。
せっかちは今でも変わっていないですが、わりと強い目のリーダーかもしれないです。

北方

今は任せるタイプのマネジメントに変わってきていると思うんですけど、努力していらっしゃるんですか?

大塚社長

しています。人はそんなに変わらないですから、強く意識し続けないと。

北方

今も意識しないと戻っちゃう感じでしょうか?

大塚社長

今はもうほんとに怒らなくなって、もう2年くらい社員を怒鳴っていないかもしれないです。

北方

怒鳴らないことは会社にとってどんなメリットがありますか?

大塚社長

怒らないと安心な環境ができます。社員が何を言っても安心な環境でなければ、結局大事な情報って上がってこないですよね。

経営者・リーダーって情報をもとに判断しているのに、どこかで遮断されると、必要な情報がない中で判断しなくてはいけなくなってしまう。

情報を上げろと言っても上がってはこないので、やっぱり情報が上がってくる状態にすることが大事です。何を言ってもにこにこして、「やっちゃってるねぇ」と言っていると、みんな安心して情報を上げてきます。

まずいことをしたら本人は絶対わかっているので、受け入れて「じゃあどうしようか」と言っている方が一緒に考えられるし前向きになるわけです。

組織文化の変化と今後の展望

北方

具体的には、マネージャー層の中でも上位の人たちとまだなりたての人たちの2チームに分けて、自分たちの「失敗」から学ぶということをディスカッションしてもらいました。

その中から出てきた課題についてどういう風に進めればいいか、何でも話せる場を作るというプログラムです。

―そんな取り組みをしながらもう3年半ほどのお付き合いになりますけど、振り返ってみて3年半で会社はどのように変わったかとかありますか?

大塚社長

北方さんの貢献は高いのは間違いない。だから信頼していろいろお願いしているんですけど、この3年間ですごく変わりました。
少なくとも私が怒らなくなったでしょ。コミュニケーション量が増えてますね。そして、私の仕事が減りました。私へのメールの量が減ったし、相談に来ることも減ったし、私は楽になりました。

部下・リーダーたちの思考の質が変わったので、安心して見ていられるようになりました。とは言え、全部の部署がそうじゃなくて、進捗度合には差があります。一番伸びている部署はとても雰囲気がよくなって、みんな信頼しあっています。

その部署はもともとはそんなに仲良くはなかったんですけど、いまでは一人が困っているとメンバー同士で助け合いが起きています。

部署の人数は30人位なんですが、その中のチーム間の助け合いも増えてるし、意見を全く言わなかった困った社員いましたが、そういった社員も顔を上げるようになりました。あと業績も上がったし、帰るのも早くなったし、生産性が上がってますね。

もちろん、他にも要因があって、クライアントを選別したとか、戦略部分にも手を入れたこともあるんですけれど。

北方

ここから先、どんな会社にしたいのかを最後にお聞かせください。

大塚社長

私が目指したいのは、社員が笑顔で生き生き働いていること、ほんとに社会に役に立つサービスである商品を提供すること、これでめちゃめちゃ儲ける、こういう会社を作りたい。

先ほどの30人の部署からはすごく手応えを感じていて、これを全社に広めていきたいです。マネジメントの勉強をする機会を生かせる人はほんとに変わっていくし、せっかく同じものを提供していても生かせない人はほんとに生かせない。

一番大事なのはやっぱりトップがそれなりの覚悟というか、絶対やりきるぞと体重を乗せることじゃないかと思います。

北方

楽しみにしています。ありがとうございました。

QUESTION

会場から大塚社長への質問

質問者

30人位の部署の伸びている要因は、人数なのでしょうか。あるいはリーダーの性別なんでしょうか?

大塚社長

人数は関係ないですね。性別も関係ないと思います。リーダー自身とその下のチームリーダー3人が全員北方さんのコーチングを受けていたというのがひとつあるかもしれないです。

あと、みんな感度が良くて素直です。素直な人間は伸びます。

質問者

うちの会社でも1on1セッションをやっているんですけど、安心感を与えすぎると逆に緩くなってしまいます。
厳しさというのをどういうところで社員に向けて出していますか?

大塚社長

おそらく私は3年前より怖いと思います。感情的には怒らないですけど、「なんでだろう?」「それをやったのは本当に良いと思ったの?」「自分の判断でやったわけですよね?」というのは聞くので怖いと思います。

そういうときに怒ってしまうとこちらも仕事した気になってしまうんですよ。でもそうじゃない。「言ったことをやらなかったのは自分だよね?」というところで人事も含めて妥協しないので。単に部下の話を聞いているだけだと緩くなるでしょうね。

コーチングセッションをマネジメントサイクルの中に埋め込むわけですから、目標として「やる」と決めたことについては上司として支援もするけれど、あなたがやるんだというメッセージをちゃんと飛ばしておかないといけません。

できなかったのであれば、次にできるためにはどうするのか、ということに上司も部下もコミットしないとだんだん緩くなるんじゃないかと思います。もし達成していなかったら、「達成していないよね」「なんで達成しなかったか一緒に考えよう」「達成しなかったのはなぜだと思う?」「どうしたら達成できる?」というテーマで話をするということです。

さらに、「達成しなくてもいい」という選択肢も与えながら、もし達成しないという選択をし続ける社員には「あなたの仕事やマネジメントとしてどうなんだろう?」という問いに変わってきます。ということは、内容的には相当厳しいですよ。

やるかやらないかお前が選べという話なので。

インタビューを終えて

大塚社長に限らず、先代から会社を承継している経営者の悩みは、先代のトップダウン型の経営スタイルが時代に合わなくなっているにも関わらず、どうすればいいか答えを持っていないことです。
「ああしろこうしろ」ではうまくいかない。でも具体的にどうマネジメントすればいいのか。。。大塚社長が対話して部下に答えを出させるスタイルを確立できたことは、2代目、3代目の経営者にとってひとつの光明ではないでしょうか。
インタビューのあと、コロナの時期を経て大塚社長の会社は劇的な進化を遂げるのですが、それについてはまた時期をあらためてお伝えしたいと思います。

私たちは、チームマネジメントに変革を起こします。

私たちの考え方

チームマネジメントを進化させ、マネジメントトランスフォーメーションを実現する。

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