COLUMN

1on1ミーティングで生むべき3つの付加価値とは

1on1ミーティングで生むべき3つの付加価値とは
投稿日
2024-05-10

目次

チームマネジメントの界隈では、「1on1ミーティング」がホットなキーワードになっています。意識の高いリーダーが自らやってみようとチャレンジしているケースもあります。会社として推奨したり、義務化していると耳にすることも増えました。

どうして1on1ミーティングはうまくいかないのか

リーダーとチームメンバーが定期的に対話する場を持って、じっくりと話すことはとても好ましいことです。でも、残念なことに1on1ミーティングがうまくいっていないという声も多く聞かれるようになりました。

この忙しいのに1on1ミーティングに時間を取られて仕事が進まない。話すこと自体が苦痛だ。何を話せばいいかわからない。沈黙に耐えられない。そもそもこんな時間が必要なんだろうか。

そうした思いの中で、リーダーもチームメンバーもなにかと理由をつけてやらないで済ませている職場はたくさんあります。コミュニケーションは取ったほうがいいはずです。でも、どうしてうまくいかないんでしょうか?

ひとことで言いきってしまいましょう。「そこに付加価値が生まれていないから」です。

仕事が進捗することがとても大切

これを読んでくださっているあなたも含めて、ほとんどの仕事人は誠実ですから、仕事を前に進めようと努力しています。小さなToDoでもひとつ片付くとすっきりします。周到に準備したはずの企画書に、エライ人が大人の事情で難癖をつけて差し戻してきたりしたらやけ酒の一杯でも飲みたくなります。

仕事が前に進めばモチベーションは上がりますし、停滞したり後戻りしたりすると下がります。(詳しくは、「マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす『小さな進捗』の力」(テレサ・アマピール他著)をご一読下さい)

だから、1on1のミーティングに30分間の時間を使うのであれば、その時間を補ってあまりある付加価値が生まれた実感がなければ、やる意味がありません。

1on1ミーティングにおける3つの付加価値とは?

では、1on1ミーティングにおける付加価値とは一体何でしょうか?

前提として、誰にとっての付加価値なのか、なのですが、主となるのはメンバーにとっての付加価値です。付随してリーダー側にも付加価値が生まれると考えてください。

1on1で生まれる付加価値のうち、代表的なものを3つ挙げておきましょう。

1)自分の考えや思いを聞いてもらえた感じが得られること
2)もやもやしていた思考が話すことによって整理されること
3)これからの行動を主体的に決めること

まず、少なくとも生じさせなくてはいけない付加価値は、「自分の考えや思いをちゃんと聞いてもらえた」という実感がメンバー側に生まれることです。それだけでも話してよかったな、と思えるものです。

意外なことに、多くのリーダーは、日頃一緒に仕事をしているにもかかわらず、チームのメンバーが何を考えて、どんな思いで仕事をしているのかを知りません。その人がどんな経験をしてきていまの仕事をしているのかということになると、全く知らないのです。話を聞くことによって、メンバーについていろんなことに気づく、というのがリーダー側に生じる付加価値です。

次に大切な付加価値は、オートクラインによるものです。オートクラインとはコーチング用語のひとつです。言葉や文字などで頭の中にあるものをアウトプットするプロセスで、自分が考えていることをより明確に捉えることができたり、思考が深まったりする現象のことです。

自分の仕事や課題についてリーダーに話しながら、まとまっていなかった考えが整理されて「ああ、そういうことだったのか」と自分で気づいていきます。このプロセスを対話の相手になることで実現するのです。それには、リーダーが適切な問いを投げかける必要があるのですが、それはまた稿を改めて説明しましょう。

3つ目の付加価値は、考えが整理された結果、どんな行動を起こすのかを自分で決めることです。リーダーから指示されたわけではなく、自分の仕事について主体的にこうしてみようと決めたことに対しては、行動に移すモチベーションは高くなります。

主体的な行動を生み出す1on1に

30分間でもやもやしていた考えが整理されて、これから行動に移したいことが決まり、1on1ミーティングが終わったらすぐにでも取り掛かることができる。その結果、仕事が前に進むのであれば、メンバーとしては「この時間があってよかったな」というものになります。

1on1で話すテーマは、日頃の悩みやプライベートで困っていることなど、なんでもいいという考えかたもあります。しかし王道は、仕事について、特に「重要だけれど緊急ではないテーマ」について話してもらって、メンバーが自ら解決する思考のサポートをするべきです。

メンバー自身が主体的に仕事に取り組んでいけるサポートをする結節点が、1on1ミーティングなのです。

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