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【コラム】部下をコーチするときに直面する葛藤とその対処法

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私たちは、お客さまの企業に「部下をコーチする」という状態をインストールする仕事をしています。それぞれの職場のリーダーが部下をコーチして、部下の成長を促し、成功に導く関わり方ができるように伴走しています。

リーダーが部下をコーチする場合、外部のコーチがリーダーをコーチする場合とは全く違う困難や葛藤に出会います。なぜそうした困難や葛藤を味わうかというと、それは、リーダーが「仕事ができる人」であることがほとんどだからなのです。

多くの職場では、プレイヤーとして優秀な成果をあげた人がリーダーとして抜擢されます。つまり、部下よりも仕事ができる人がリーダーになります。当然のことですね。チームが直面する様々な課題に対して、チームの中で最も的確な答えが出せます。とても頼もしいことなのですが、部下をマネジメントするときには、優れたプレイヤーであることが裏目に出てしまうことがあるのです。

早く答えを出したい

部下に考えさせるために、「この課題に対してどう取り組んだらいいと思いますか?」と部下に問いを投げかけたときには、もうリーダーの頭の中には答えが浮かんでいます。なぜなら、リーダーがプレイヤーとしても優秀だからです。過去の経験のストックがたくさんあります。そのため、ベストな解決策がスルスルと出てきます。

ところが、目の前の部下は、その問いに対して「うーん・・・」と考え込んでいます。もうすでに答えが浮かんでしまっているリーダーは、「だからこうしたらいいんじゃない?」と答えを言いたくなりますし、言ってしまうのです。

「ものごとを前に進める」という観点ではそれでいいのですが、「部下が自分で考えて答えを出せるようにする」という観点では、完全にその機会を奪っています。むしろ、部下は「結局リーダーが答えを出してくれるんだから、自分が考えてもしかたない」と感じます。

すると、「これってどうしたらいいでしょうか?」とリーダーの答えを聞きに来るようになります。これは、部下が自分で考えることを放棄しているサインです。その結果、細かいことまで何もかもリーダーが自分で判断しなくてはいけないチームになり、気がつくと自分ひとりが深夜まで残業していることになります。あなたは大丈夫ですか?

部下が自ら答えを出せるように関わる

部下に問いを投げかけたら、まずは部下がどんな状態になっているか観察しましょう。考えているのか、思考が停止しているのか。考えているようであれば、気長に待ちましょう。

しばらく待って、ひょっとしたら思考停止なのかもしれないと思ったら、「いまどんな状態?」と聞いてみましょう。そうすると、「今考えているところです」とか「実は質問が難しすぎて止まっていました」と答えてくれます。質問が難しすぎるということなら、その部下にとって考えやすい質問に変えて改めて投げかけます。

緊急でない場合は、答えを早く出すことよりも、部下が自ら答えを出す成長の機会にすることを意識しましょう。

自分と違う答えを受け止められない

さて、こうしてリーダーの問いに対して部下が答えを出すことができたとしても、その答えを素直に受け止められず、否定するというケースも生じます。このケースもあらかじめリーダーが頭の中で先に答えを出してしまっています。もし部下の答えが自分のものと違っていると、「間違っている」と感じます。なぜなら、自分の答えが正しいと思っているからです。「そうじゃなくて、こうしないとだめでしょう!」と否定することになります。

頭ごなしに否定された部下は「結局いろいろ考えて話してみても否定されるんだったら、考えてもしかたない」というモードになり、やはりリーダーの意見を聞きに来ることになります。

しかし、同じ山に登るにしても、登り方は様々あります。道筋はひとつではありません。自分にとって最も快適で早く頂上に到達できる方法が、部下にとってもあてはまるとは限りません。部下はリーダーと比べると、スキルも高くなく経験も十分ではないことでしょう。その状態のなかで部下は最善と思う答えを出してきます。

ひょっとすると、リーダーが知らない最前線の情報を元に出した答えかもしれません。経営環境の変化が早い昨今では、むしろいま現場で起こっていることを元に判断しなくてはいけません。現場の情報量は圧倒的に部下のほうが多いのですから、それを聞き出さない手はありません。

「違っている」と「間違っている」は違う

つまり、リーダーが正しいと思っている答えは、必ずしもその答えだけが正しいわけではなく、違う答えもあるかもしれないのです。部下の話を聞くときに意識しておくべきことは、「違っている」と「間違っている」は違うものだということです。

そこで、部下が自分とは違う答えを出してきたら、「どうしてその答えを出したんですか?どんな情報を見てどんなプロセスで考えて答えを出したのか話してください」と聞いてみましょう。「へえ、そんなことが現場で起こっているんだ」「なるほど、そういうふうに考えたんだ」と気づくことがかなりあるはずです。

私たちのプログラムを受けたリーダーたちは部下との会話を通じて、「自分の部下っていろいろ考えながら仕事をしているんだなあ」ということに気づくことがとても多いのです。この気づきがリーダーとしての成長を促します。

部下の話を聞くのが楽しくなる

私たち「外のコーチ」は、クライアントであるリーダーの方々の仕事内容については想像はできますが、その仕事をやったことがあるわけでも詳しいわけでもありません。だから、コーチしているときにいろいろと答えが思い浮かんだとしても自分の答えが正しいとはそもそも思っていません。

そのため、コーチとして問いを投げかけて、クライアントが「うーん・・・」と考え込んでいるのを見ていると、「おお、考えてる考えてる!どんな答えを出してくれるんだろう」と、とても楽しくなります。

これがリーダーにもできればいいのですが、リーダーが部下をコーチするときには、自分のスキルや経験から生まれる「自分の正しい方法」を脇に置くことを迫られるので、外のコーチより難易度が高いのです。

しかし、その葛藤をうまく扱うようにできたとき、部下から話を聞く時間はとても楽しく生産的な時間になることでしょう。まずは、部下の話を聞くときに、どんな心の声が自分の頭に浮かんでいるのかに意識を向けるところから始めてみることをお勧めします。

 

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