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【マネジメントコラム】マネジャー育成がなぜうまくいかないのか?

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マネジャー育成をするために研修やOJT、自己啓発支援など取り組みを行っていることが多いと思います。
ですが、導入したはいいものの理想とする優秀なマネージャーに育たない、以前と変わっていないなど、そういった経験はないでしょうか?

マネジャーが機能していない組織では、チームが疲弊し組織目標を達成できない、人が辞めてしまう、それがまたチームの疲弊を招く、といった悪循環に陥る可能性があります。人材は企業にとって資産です。資産の毀損は経営にとって深刻な打撃です。

最初から結論を申し上げましょう。マネジャー育成がうまくいかないそもそもの原因は、人材がボラリティ(変動性)の極めて大きい経営上の資産だと認識していないことにあります。

すべての従業員は成長と貢献を望んでいる

縁あって一緒に働くことになったとき、きっかけは生活のためのお金をかせぐことだったとしても、「どうせ仕事をするなら、いい仕事をして成長し、だれかに貢献したい」と従業員はひとり残らず思っています。自覚していなかったとしても潜在的に思っています。いやそんなことはない、あいつらは成長意欲も貢献意欲もない給料泥棒だ、という人もいるかもしれないですが、まずはこの前提に立ちましょう。

その前提に立つならば、もともと成長と貢献を求めている人材がいい仕事ができるようにするにはどうしたらいいのでしょうか?逆に、成長意欲や貢献意欲を失って、いい仕事ができていないのならそれはなぜなのでしょうか?

それを真剣に考えて人材に関わることが、経営トップをはじめマネジャーの最重要の仕事です。なぜなら、人材を通じてしか組織は成果をあげることができないからです。完全自動化された工場でさえ、人がメンテナンスする必要があるのですから。

人材はきわめてボラリティ(変動性)の高い経営資産

同じような能力を持った人材が3人集まったチームがあるとすれば、ひとりのときよりも3倍の成果を生み出すことを期待します。そう考えるのが論理的です。しかし、そうはいかないことは私たちは経験的に知っています。

人手が足らないので一人増やしてみても全然楽にならないのはなぜなのでしょうか。逆に、隣のチームは仕事量は変わらないのに残業もせず少ない人数で回っているのはなぜなのでしょうか。同じ仕事を同じ手順でやっているはずなのに、そのアウトプットは大きく変動します。

プラスになったりマイナスになったり変動が大きいのが人材という資産です。もし、この変動を大きくプラスに持っていくことができれば、経営上大きなプラスのインパクトが生じます。逆にマイナスになることもあります。経営者やマネジャーとしては、そこにエネルギーを注がないわけにはいかないはずです。

組織の成果を生み出すふたつのプロセス

さて、人と人とが一緒に働くとき、そこには2つのプロセスが動いています。

ひとつはタスクプロセスと呼ばれるものです。ちょっと乱暴ですが一言でいうと、仕事の仕組みです。業務フローとか手順とかそういったものです。論理的に考えて整理すれば、比較的可視化しやすいものです。

もうひとつはメンテナンスプロセスです。メンバーとの間にある関係の状態です。信頼感、場の雰囲気や風土、ものごとの捉え方の違い、など、かなりとらえどころのないものです。

この2つのプロセスをうまくマネジメントすることができなければ、組織の成果を生むことはできません。マネジャーが育たないのは、タスクプロセスとメンテナンスプロセスの両方を扱うスキルを養えていないからです。

成果があがるプロセスのつくりかた

トッププレイヤーが優れたマネジャーになれるとは限らない

ひとりの担当者として高い成果をあげている人材、つまり仕事のできるトッププレイヤーがいたら、チームを任せてメンバーたちにも成果をあげさせてもらいたいものです。優れた仕事の進め方を知っているのであれば、それをメンバーに指導すればいいと思って、マネジャーに昇格させます。

ところが、トッププレイヤーがマネジャーになったときにチームの成果が思わしくなくなってしまうことがあります。かなりの割合で発生します。スポーツの世界でも、素晴らしいプレイヤーが監督になったとたんにチームが失速する例は枚挙にいとまがありません。

そうなってしまう理由は簡単です。トッププレイヤーは自分の仕事を最高にうまく進める方法は知っていますが、自分ではない他人にうまく仕事を進めさせる方法については、全くのド素人だからです。自分が成功することと他人を成功させることは、全く違うスキルであることを認識しておかなくては、マネジャーが育つわけはないのです。

ところが残念なことに、他人を成功させるスキルは、テキストを読んだりビデオを見てもほとんど身につきません。そのスキルは、チームのメンバーとかかわっていく中で培われるからです。

マネジメントは修業の道

他人を成功させるスキルは、幸いなことに優れたコーチが選手を育てるために何をやっているのかを観察して集大成したコーチングスキルとしてまとめられています。ほかにも組織で成果を出すためのセオリーはあります。それを適用すればよいだけです。

ところが、扱うものがタスクプロセスだけでなくメンテナンスプロセスであるが故に、マネジャー自身がセオリーを理解した上で、メンバーと関わっていく中で関係を醸成していかなくては機能しません。つまり、マネジャーだけではなく、チームごと育ってはじめてマネジャーが育ったと言えるのです。

それには、一定期間の試行錯誤が必要です。セオリーを職場で試してみてそこから学ぶ繰り返しの中で、マネジャー自身が育ち、同時にメンバーとの関係が育って、そこではじめてチームとして成果を生み出し始めるのです。

そこに至るまでには、マネジャー自身の人間としての器を問われる場面が何度もあります。修業の道と言ってもよいでしょう。だからこそ、マネジャーとしての成長は喜びも深いのです。

まとめ

マネジャーの育成は、一筋縄ではいかないものです。しかし、人材が変動性の高い資産である以上、マネジャーの質が組織の盛衰を決めると言っても過言ではありません。ここにエネルギーを注ぐことが、組織の将来をかたち作っていくことになります。

 

 

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